全国各地で起きている賃貸住宅に関するトラブル。
今回は山梨県の賃貸アパートで起きた暴力団事務所トラブルについてお話を聞かせていただきました。
そして元不動産賃貸営業マンの私が今回お話を聞かせていただき感じた大事なチェックポイントについて書いてみました。
どうしても1日で部屋を決めなくてはならない状態の部屋探し
38歳、女性、主婦の体験した賃貸アパートでのトラブル体験です。
山梨県へ県外から引っ越しをする際、主人の仕事初めの日程が迫っており、どうしても1日で部屋を決めなくてはならない状態でした。
そこで、以前にも契約をしたことのある、とある賃貸アパートを斡旋する会社へ相談へ行きました。
子供2人、主人と私の4人で生活するため、2LDKを希望し、職場や幼稚園、小学校から比較的近い所を数件紹介していただきました。
その中で、特にお勧めだというアパートの見学をし、内装も特に問題ないためそこに契約することを決めました。
チェックポイント
遠方のかたの部屋探しは本当に大変です。
特に首都圏の1月~3月の間では1日で部屋を見て決めて帰らなければいけないというかたが多かったです。
しかし1日で物件が決まらないかたもいますので出来ることなら、1日で部屋を決めることを前提としながらも念のため予備日として2日~3日みておいたほうがいいですね。
隣の一軒家に停まるあやしげな改造車…
住みはじめて数か月後、まずは隣の一軒家に改造車が停まっていることに気が付きました。
それからは、毎週末というほど、隣に改造車が停まりちょっと外に出るのは怖い感じがしていました。
そこから、更に数か月後。
夏の暑い日でしたので、窓を開けて寝ていたところ、外で「パンパンパン!!」と3発の音。
近所の公園で若者が爆竹でも鳴らして遊んでいるのかと思っていたところ、なんだか外が物々しい雰囲気になってきたのです。
夜中に起きた発砲事件で我が家へ警察が聞き込みに!
窓から外を覗くと、警察車両が到着し、すぐさま黄色のテープでアパート周辺を囲み、道路は封鎖。
夜中でしたが、我が家へも警察聞き込みに来ました。
何があったのか尋ねると、警察の方は「ご存知かと思いますが、近所に暴力団の人の自宅があります。そこに発砲事件が発生しました。」と言うのです。
私たち家族は、そんなことは初耳でしたので、驚くと共に、アパート契約時にやけにこの物件を勧めてくる担当者の様子が思い浮かびました。
あとから聞いてみると近所では有名だったようで、県外から転居して来る私たちには知る由もなく、このようなことに遭遇してしまったのです。
チェックポイント
近所で発砲事件なんて怖すぎですし危険すぎますね。
通常、部屋を借りる時の契約書には「自分は暴力団員ではない」といった文章が入っています。このように借りる場合は暴力団員かどうかということを確認されますが、近所に暴力団員が住んでいるということまでは教えてくれません。
1か月のうちに近所の10軒中5軒が引っ越しをした…
その後、しばらくは警察がアパート周辺は見廻りをしており、1か月のうちに10軒中5軒が引っ越しをしました。
契約した会社からは特にその事件について話もなく、我が家もすぐに引っ越したかったので触れることもなく解約しました。
契約会社としてはどこまでそのような環境であることを契約者に伝える義務があるのかわかりませんが、アパート周辺についてもよく調べなくてはいけないということを痛感した出来事でした。
また解約時の理由として、周辺環境が悪いという理由で途中解約できるのかなども調べたり、契約会社と事前に確認しておく必要もあるのかもしれません。
いづれにせよ、アパート契約の際には、周辺環境の確認も必ずしたほうが良いです。
チェックポイント
今回お話を聞かせて頂いたかたも言っていますが、不動産屋はどこまで契約者に告知する義務があるのか?ということです。
今回のかたのお話しを聞く限りでは非常に微妙なところですが、まずは一つずつ問題を整理していきましょう。
まず近所に暴力団事務所がある部屋を借りる場合、不動産屋は告知義務があるのか?
⇒原則、告知義務が発生します。
しかし何メートル以内に暴力団事務所があれば告知しなければいけないなどということは決まっていません。
では今回の場合、不動産屋はなぜ告知しなかったのか?
⇒本当に知らなかった。または知らないふりをした。
今回の不動産屋が部屋の「仲介」という立場であれば、近所に暴力団事務所がある事を知らなかった可能性もあります。それは不動産賃貸の「仲介」という立場では今日初めて知った部屋でも紹介することがあるためです。
私も営業マン時代は「仲介」として多くの物件を契約してきましたが私自身、初めて案内に行った場所の物件で、ご契約いただくなんてことはよくあることなのです。そのため部屋のことはわかりますが、周辺環境については100%把握しているわけではありません。
またはこの「仲介」という立場であれば暴力団事務所があることを知っているのにも関わらず知らないふりをして勧めた可能性もあります。それは、そんな暴力団事務所があるなんて知らなかったといえば済むからです。
では今回のケースはどうすればよかったのか?
⇒大家、または管理会社に引っ越し代の請求を行う。
この暴力団事務所が、どの程度近くにあったのかはわかりませんが、ご近所のかたが暴力団事務所の存在を知っていたことを考えると大家さん、または管理会社に告知義務が発生すると考えられます。
そして暴力団事務所の存在を知らされていなければ告知義務違反となります。そのため引っ越し代を大家さんか管理会社に請求できると考えられます。
しかし売買で似たようなケースの裁判判例をみると全額の補償ではなく、何パーセントという金額になっているので賃貸でも大きな金額を請求することは難しいかもしれません。
今回のケースで不動産屋がどこまでしっていたかどうかはわかりませんがオーナーチェンジなどで新しい大家さんではない限り、大家さんはおそらく知っていたと思います。
「空き部屋が多い賃貸アパートで起きた騒音トラブル体験談」に続き大家さんの話になりますが大家さんというのは税金とお金ばかりを気にして、こういった大事なことを話さないかたが非常に多いです。
また書いてしまいますが賃貸を行う大家さんには、ぜひとも免許制を取り入れてほしいものです。それは現在の賃貸ルールについてほぼ理解していない大家さんが非常に多いからです。
そして、できることならゆっくり時間を取っての部屋探しで周辺環境もよく調べるようにしましょう。