不動産賃貸業で出会った変わったお客様その2


みなさん。こんにちは。

元不動産賃貸営業マンの中田です。

変わったお客様シリーズ第二弾です。今回の登場人物はひとりの女性の話になります。

不思議な雰囲気で体をケガしている女性

それは私が営業マンとして 2年が経った秋頃だったと思います。

その日は土曜日でしたが、お客様がそれほど多く来店頂いている日ではありませんでした。

そこにフラッと若い女性の方が入店して来ました。
女性

特に予約をされておらず、いわゆる飛び込みのお客様でした。

受付カードの記入をして頂いている間に私が担当をする事になったので、女性をよくみると体の一部が欠損しています。

またその身体的特徴には関係なく、営業マンの勘として少々厄介なお客様の予感がしていました。

受付カードの記入が終わったので私が話を聞いてみます。

無職の方でも借りられる部屋を探す

まず年齢は 20代後半。職業の欄は空欄。家賃は 20万円程度まで。

この内容を見た時に契約となる事は、ほぼ無いという事は過去の経験からわかっていました。

なぜなら本当に家賃を 20万円払える人は必ず会社名か業種を書きます。

それは高額家賃でも支払えますよという自信や社会的地位の高さを明かしたいものだからです。

私はとりあえず話を詳しく聞いてみる事にしました。

引越し理由は実家からの独立でご両親との仲がうまくいっていないとの事ですが、そこからずっとご両親の愚痴です。笑

ご両親との仲が悪いという事は連帯保証人も無理ですし、そもそもお仕事は!?

そこで聞いてみました。

「今のお仕事は何をされているのですか?」

「働いていません。」

「働いてなくてどうやって家賃を払うのですか?」

「貯金はたくさんあるので大丈夫です。」

「でも家賃 20万円だと単純計算で年間 240万円で 2年間で 480万円もかかりますが大丈夫ですか?」

「はい!実はこのケガで保険金をいっぱいもらったので!」

これで契約への希望が見えてきました!

ただ貯金がいくらたくさんあるといっても家賃 20万円の物件で無職となると審査が非常に難しいです。

そのため無職でも貯金があれば部屋を貸してくれる家賃 20万円の物件探しです。

そういった場合はとにかく電話で大家さんや管理会社に片っぱしから電話して確認していきます。

結果ほとんどダメでしたが数件、預金の残高証明が出せるのであれば相談できますと!

さて住めそうな物件は見つかりましたが、預金の残高証明を出せますか?と聞くと大丈夫!との事です。

そして本題に切り込みます。

「預金ってどれくらいあるのですか?」

「家賃 20万円を預金証明だけで借りるのであれば、預金額が何千万と必要になりますが・・・。」

「えっと・・・。8千万位なら・・・。」

この答え方。実に怪しいです。私はウソを付いていると確信しました。

この時、本当はお引き取りをお願いしたかったのですが責任者がとりあえず部屋を見に行ってこい!との事・・・。
気が重たい

成約確率は低いが家賃20万円の物件を見に行く

土曜日という稼ぎ時に契約にならない部屋へのご案内というのは非常に気が重たいです。

渋々、家賃 20万円の物件を見に行くと、その女性はもちろん喜んでいました。

そりゃあ 20万円の 1LDKに一人入居なんて誰だって喜びますよね。

とりあえず会社に戻り、気に入ったという事で申込書に必要事項を書いて頂きました。

そこから今後の流れとして審査になるので預金残高の証明書を銀行から発行してもらい提出をお願いしますと説明を行いました。

私は本当に預金残高証明を出せるのか疑問が残っていましたが、ご本人が大丈夫!というのであれば信じるしかありませんよね。

そしてお客様が帰る際は必ず店先までお見送りするのですが、その時の女性の後姿は今でも忘れません。

店を出て、颯爽(さっそう)とタクシーを止めて乗り込むその後ろ姿を。

予想通り連絡が来たので、その内容を確認すると

数日後、女性からメールが届きました。

本当は貯金が ○百万円しかないんです。だから預金残高証明は出せません。でも中田さんで、また部屋を探してほしいです。

ご指名ありがとうございます!
指名を喜ぶ

いやいやいや。ご指名じゃなくて!!笑

どうしてウソの貯金なんか言っちゃうんですか!?俺の時間を返してーーー!!
時間を返して!

とは言えないので、申込み物件をキャンセルしますという事と今後は当社ではお客様を仲介出来ない旨をお伝えしました。

ちなみに、この仲介出来ないというのは責任者指示です。

その後、数件のメールが会社宛に来ましたが全て責任者が対応で出来ない旨を返信していました。

まとめ

これは私の予想になりますが、その女性は事故に遭われた事は本当で保険金が入ってきたのも事実だと思います。

しかし保険金を何らかに使ってしまったか、保険金がそれほど多く無かったのではないかと思います。

事故に遭い、恐らく仕事を辞めざるをえなくなり両親とも仲が悪いとなれば、それらが原因で精神的な病気にかかってしまったのではないでしょうか。

一見すると普通の人には見えるが精神的な病をかかえた方は、会話をしたいがために不動産屋など話を聞いてくれる場所に来る事があります。

そんな精神的な病を抱えた女性だったのでは?と今では思っています。


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