全国各地で起きている賃貸住宅に関するトラブル。
今回は千葉県の賃貸で起きた震災トラブルについてお話を聞かせていただきました。
そして元不動産賃貸営業マンの私が今回お話を聞かせていただき感じた大事なチェックポイントについて書いてみました。
東日本大震災で借りていた戸建に損傷が…
35歳女性、主婦です。千葉県船橋市の戸建て賃貸に住んでいた時の話です。
東日本大震災で借りていた戸建てに住めなくなりました。
少し特殊なのが、私の住んでいる地域は特に震災の被害がなかったのに、うちだけが被害にあったということです。
地震の間、ドアを開けて揺れが収まるのを待っていたら目の前で塀や門が倒れていきました。
あとで家の周囲を確認してみると地面が割れて水が噴き出し、家と地面の間に隙間ができていました。
あとで知ったのですがもともと地盤の弱い一角だったようです。
チェックポイント
東日本大震災は非常に大きな揺れで東北地方に甚大な被害をもたらしましたが、確かに首都圏ではそこまで大きな被害はなかったです。
しかし、女性が住んでいた賃貸の戸建てだけ被害に遭うという非常に不運でしたね。
近所では被害が出ておらず、女性の家だけが被害を受けるというのは非常に珍しいです。
築年数が古い戸建てだったのか。本当に不運が重なり女性が住んでいた戸建てだけ被害に遭ってしまったのか。
気になりますね…。
不動産屋に連絡をとったがとにかく対応が遅い!
賃貸ですので不動産屋に連絡をとったのですがとにかく対応が遅く、「水木は自分が休みで土日は会社が休みだから」などと言われ話がちっとも進みませんでした。
門と塀が倒れてしまっているせいで隣の家が駐車場に車を入れることができず、またいつ残りの塀が自分の家側に倒れてくるか気が気ではないとのことで、隣人からも毎日のようにせっつかれ、非常に気まずい思いをしました。
私自身も余震で今度こそ倒壊するのではないかと思い恐ろしかったのでそのことも合わせて不動産屋に伝え、早く状況を見に来てほしいと訴えたところ、「そんなに心配なら避難所に行かれてはどうですか」と、とんちんかんなことを言われ、悔しい思いをしました。
家がそこまでの状況になったのはうちだけで、あとは平常運転の地域です。
一時的に店が品薄になったり、ガソリンが手に入りにくくなったりしただけで避難所などあるはずもありません。
チェックポイント
この不動産屋は一体何なのでしょうか?担当者と会社の休みだからと、それでは一週間のうち3日しか対応できないということではないですか。意味がわかりません。
他の社員と一緒に業務を行えば話が進むじゃないですか?
これは不動産屋で、たまにあるのですが物件ごとに担当者が決まっており、担当ではない人は大家さんとやり取りをしないということです。通常はそれで業務が進められますが、今回のような緊急を要する場合は他の社員が大家さんに連絡をすればいいだけなのですが・・・。
この不動産屋が古い会社なのか、人がいないだけなのか・・・。
さらに「避難所に行かれてはどうですか」なんて、あり得ないです。
不動産屋が家を見に来たのは10日ほど経ってから…
極めつけは「浦安の液状化が大変でそちらに見に行く時間がない」とのこと。
結局家を見に来たのは10日ほど経ってから。
しかもお見舞いとして差し入れを持ってきたのですが家に誰もいなかったのでお隣に渡し、「家を見に来ました」と言付けていったのです。
見に来ることを聞いていなかった私は朝お隣から「これ預かりました」とお菓子を渡されビックリしました。
お隣はうちに何度もまだ、なんとかならないのかと言ってきていたお宅だったので、品物を渡す時も「なぜうちが預からないといけないのだ」という雰囲気を出しておられました。
チェックポイント
この不動産屋はひどすぎですね。普通、入居者本人にお見舞いの品を渡すのが常識ではないでしょうか?もうあきれてしまいますね。
みなさん、こういった不動産屋は本当に多いです。こんなにヒドくても潰れずに営業し続けられるのです。信じられますか?
これが不動産業界なのです。ハッキリ言って終わっていますよね。
さらに不動産屋は「浦安の液状化を見にいく」とのことでしたが女性が住んでいる船橋市、浦安市と広いエリアで物件を持っているようですね。
広いエリアで物件をもっている可能性があるということは実績がある、信頼があるからだと思いますが・・・。
こんな不動産屋に任せている大家さんたちの神経を疑いますね。
結局、不動産屋に多いのは、お客さん大家さん両方を大事にするのではなく、大家さんを大事にする不動産屋です。
不動産屋は大家さんを大事にして取り扱い物件を増やし、入居者は適当に対応する。物件さえ多数抱えていれば、お客さんを選べるというスタンスなのです。
不動産業界が変わらない限りずっとこういった不動産屋は今後も生き残っていくでしょう。
大家さんが壊すしかないという判断をして引っ越すことに…
不動産屋に電話してみると、時間が空いたから急きょ見に行った、とのこと。
しかも「夜で暗くてよく見えなかったので、大家さんと待ち合わせてまた行きます。大家さんの都合がまだつかないのでいつになるかはわからない」と言われました。
結局大家さんがこの家はもう壊すしかないという判断を下して引っ越すことが決まるまで1カ月近くかかりました。
大家さんに罪はないので仕方ないですが引っ越し費用なども特に出なかったです。前の年に契約を更新したばかりだったのでその更新費用だけが返ってきました。
チェックポイント
もうこの不動産屋について書きたくないですが・・・終わってますね。夜暗くて見えなかったとか・・・。終わってます。
さて今回の女性の件で大きなポイントとなる地震の影響で部屋に住めなくなった場合についてです。
今回の女性の話では大家さんが取り壊しの判断をし、更新費用だけが返ってきて引っ越し費用は出なかったそうです。
この条件が妥当かどうか?調べてみました。
結論から言うと女性は損をした可能性があります。
まず今回のケースでは大家さんが取り壊しの判断をしたとのことですが、ここが大きなポイントとなります。
それは大家さんが、たとえ取り壊しの判断をした場合でも入居者が住めると判断した場合は大家さんは勝手に取り壊しを行うことはできなくなります。
まず住むことが困難なほど建物に損傷がある場合は、部屋の契約が終了し入居者は大家に転居費用を請求することはできません。これは不可抗力と考えられるためです。
しかし先ほど書いた通り、入居者がまだ住めると判断した場合は部屋の契約は継続しますが、大家さんは取り壊したい。
その場合は大家さんは6ヵ月以上前に入居者に退去勧告通知を出さなければいけません。これで退去となるかというとそんな事はありません。
大家さんから退去勧告通知が来ても入居者が退去したくないと言った場合は大家さんは無理やり退去させることは法律上できなく、その場合話し合いもって当事者で同士で解決することになるのです。
そして話し合いで解決できない場合は裁判になるのです。まぁここまで話がもつれる事は特別な理由がない限りありません。
では話し合いでどう解決するか?一般的には立ち退き料で解決することが多いです。
立ち退き料は決まった金額というのはなく当事者同士での話し合いにより決まり、引っ越しにかかる費用の負担、契約解除となるまでの家賃免除などがよくあるそうです。
今回のケースでは大家さんと女性、双方が取り壊しに合意したと考えられるため、女性が転居費用をもらうことはできなかったと考えられます。
女性が入居の意思を示し、大家さんの希望で取り壊すという事であれば転居費用をもらうことが出来たでしょう。
女性が住んでいたのが戸建てということで他の住人がいないので、取り壊しに反対する人がいなかったのも不運でしたね。
さらにこの不動産屋が大家さんに、どうしたら立ち退き料を払わなくていいかという方法をアドバイスをした可能性もありますね。
女性には非常に不運が重なった結果となってしまいました。
みなさんも大家さんから退去勧告通知をされても、良く調べ自分が損をしないように転居費用を負担してもらえる方法をとりましょう。