全国各地で起きている賃貸住宅に関するトラブル。
今回は東京都大田区の賃貸で起きた大家トラブルについてお話を聞かせていただきました。
そして元不動産賃貸営業マンの私が今回お話を聞かせていただき感じた大事なチェックポイントについて書いてみました。
大家さんから契約を白紙に戻してほしいとの連絡が…
44歳女性、自営業。トラブル時は20歳、東京都大田区。
掘り出し物のそのアパートは、ある会社の寮として建てられていたものでした。
部屋に空きが出たので一般に貸し出しをしたところを私が見つけました。
大家さんとの面談が必要という事で、かなり遠いその会社にまで行き、女性専務さんとお話もしました。
貸出OKという事で、仮契約まで済ませた時点で大家さんから契約を白紙に戻してほしいとの連絡が。
何でも、大家さん(その会社の専務さん)の姪が急に一人暮らしを始めるとのことで、自分の姪をその部屋に入れたいから、が理由でした。
チェックポイント
こういうことを急に言い出す大家さんって本当にいるんですよね。
本当に親戚に貸す場合もありますし、他の不動産屋からもっと条件の良い借り手がみつかりこういった理由を言って断ろうとする大家さんが存在します。
さて、今回のポイント重要なのは多くの人が賃貸で使う「仮契約」という言葉です。しかし賃貸で「仮契約」という言葉は存在しません。お客さんが勝手に言っているだけです。まぁ不動産屋の説明不足というのが原因でもあるんですけど…。
みなさんがよく言われる「仮契約」これは「申し込み」の段階なのです。
「入居申込み時に確認すべきポイント・部屋探しの流れ⑤」でも書きましたが賃貸の基本的な流れは「申し込み ⇒ 審査通過 ⇒ 契約」なのです。
では今回のケースだと大家さんと面談をして「貸出OK」ということは審査通過と考えられますが契約前なので大家さん側からの断りは有効と考えられます。
無事に入居できたが…大家さんの執拗な嫌がらせが始まる…
仲介会社がここで契約解除としてしまうと、当社の信用にかかわるから・・・と、大家さんの要求を突っぱね、わたしは無事に入居できました。が、そこから大家さんからの執拗な嫌がらせが始まりました。
まず、お風呂が詰まる。ユニットバスだったのですが、全く水が流れずに廊下まで水が溢れる状態でした。
大家さんに相談する(代理の人が出ました)と、『自分で何とかしろ』という返事。
とりあえず自分で業者に頼んで見てもらうと『普通では有り得ないような量の髪の毛が詰まっていた』という話。
修理代に5000円を払い、その領収書は大事に保管しておきました。
チェックポイント
これは仲介会社の人が頑張ってくれましたね。
でも問題はその後ですよね。入居後に嫌がらせなんて大家とは思えない行動です。
さらにトラブルを大家さんに相談する人が、まさかの代理という…そして極めつけは自分で何とかしろという…。もう何もかもがダメな大家さんですね。
大家さん嫌がらせ!証拠隠し!敷金の返金無し!
次は、アパートの外灯部分の電気料金の請求書が私個人の名義出来ました。
家賃の中には管理費が含まれており、その管理費にはアパート外灯の電気代も含まれていたので不審に思いました。
電機会社に連絡すると、いつくかの質問の後に『その請求書は必ず破り捨ててくれ』という返事でした。
数年後、アパートを出るにあたって、お風呂の詰まりの代金について大家さんと直接お話できました。
大家さんはとても優しく『では、その領収書を直接私のところに送ってください』と言いました。
そして、そのまま音沙汰無し。まだ若かったため、証拠隠しだとは気付けませんでした。
また、一連の事が大家さんからの逆恨みの嫌がらせだとも。当然、敷金の返金も無し。
チェックポイント
とにかくヒドい話です。証拠隠しに敷金の返金もなし。
たしかに20年前であれば、こういった大家さんはゴロゴロいたという話をよく会社の上司から聞いた事がありました。
「敷金は返ってこない」昔はこの考え方が当たり前でしたが、今ではようやく「敷金は返ってくるもの」と認知されるようになっていますからね。
アパート名も変わり不動産屋も無くなっていた
間に入った会社も、大家さんの余りの陰湿さに及び腰だったようで、相談しても自分で何とかしてくださいというばかりでした。
大家さんに面接に行く時も仲介会社さんたちも『愚痴聞かされて大変なんだよな』と言っていたので、かなり困った人だったようです。
面接時に私が美術学校の学生だと知った時も、私だって才能あるのに勉強する事が出来なかったとか・・・正直、反応に困る言動がおおかったのですが・・・
ちなみに、数年前に訪ねていったらそのアパートは名前が変わっており、今は一般のアパートになったようです。
調べてみると、あの時大家さんからもらった名刺に合った会社ももう無いようです。
バブルに夢を見て、気に入らないと娘程の入居者に執拗に嫌がらせをして。
あの大家さん(というか専務さん)は今どうしているかな、と思う事があります。
チェックポイント
大家さん自身で物件を管理している場合は、基本的に大家さんと入居者の話し合いになります。そのため間に入った会社も自分で何とかしてくださいと言ったのでしょう。
今回のケースで重要なポイントは2つあります。
まず一つ目は最初の時点で何らかのトラブルが起きた場合は、入居後もトラブルが起きる可能性が非常に高いです。とくにこういった話しが変わる大家さんというのは非常に危険なので、たとえ物件が気にいった場合でも住むのは避けたほうが良いです。
二つ目です。最初に書いてありましたが、この物件はもともと会社の寮ということで建てられ、その一室を女性が借りることになったのです。
寮ということで建てられたということを考えると、この大家さんは大家業をした経験がなかったのかもしれません。会社の寮ということを考えると何か大きなトラブルが無いかぎりは、借りている会社がトラブルの解決をしていたかもしれません。
つまり大家さん経験がない人がお大家さんとして個人に初めて貸したのが今回の女性だったのでしょう。
そう考えればトラブルに対応せず敷金も返さなかったことに納得できてしまいます。
そのため大家さん経験が少ないを大家さんの物件はできることなら避けたほうがよいです。
今回、お話しいただいた話は20年前の体験談でしたが、いまでもこういった大家さんはいます。
みなさん部屋を借りる時はトラブルなく契約出来る物件、大家さんがある程度、大家業の経験がある人を選ぶようにしたほうがよいです。