全国各地で起きている賃貸住宅に関するトラブル。
今回は東京都の賃貸で起きたシロアリトラブルについてお話を聞かせていただきました。
そして元不動産賃貸営業マンの私が今回お話を聞かせていただき感じた大事なチェックポイントについて書いてみました。
湿気のことなんか気にしたことがなかった私のアパート生活
34歳、男、フリーライターです。
10年ほど昔、東京都の築20年ていどの賃貸アパートで暮らしていたときの話です。
その部屋はユニットバスで、お風呂を使ったあとすごく湿気のたまる環境でした。
しかし当時の私は湿気に気を使うという発想がなく、何の対策もしていませんでした。
チェックポイント
実はこういうかたって多いです。
私の友人もお風呂に入った後も換気扇を回さず湿気ムンムンのままにしています。そのためお風呂はカビが発生しやすく困っていると・・・。
もうあきれて言うのもイヤになりましたが「か、換気扇くらいまわそうよ」とだけ言いました。
こんな、おとぼけの友人の話は置いときまして。
みなさん部屋の湿気には気を付けましょう!窓を開けない生活をしていると必ず湿気がこもり衣類や壁にカビが発生してきます。定期的に換気をして湿気をこもらせないようにしましょう。
ユニットバスと扉の境目の部分の下から大量のアリが…
そんなある日、そう、ちょうどゴールデンウィークが始まろうというとき。
ユニットバスと扉の境目の部分の下から、大量のアリが湧き出ているのを発見したのです。
何度シャワーで押し流しても次から次へとあふれでてきて、恐怖をおぼえました。
すぐにアパートの管理会社に電話し、来てもらったものの、隙間に防虫スプレーを吹くだけ。
次の日にはまたアリがぞろぞろと湧き出てくるしまつでした。
とにかく無理やりシャワーで流して、日々をすごしていたらいつの間にかアリは消えていました。そこで油断したのが間違いの元でした。
チェックポイント
私が不動産賃貸の仕事をしているときに大量のアリが発生するというのは聞いたことがありませんでした。今回の話しは珍しいケースですね。
ではまず管理会社の対応を見てみましょう。
防虫スプレーのみで対応ということですが、まぁこんなものでしょうね。恐らく管理会社の人も一時的なものだと思ったのでしょう。
翌年、今度は部屋の隅から大量の羽アリが…
翌年、やはりゴールデンウィークの時期に、今度は部屋の隅のほうから大量の羽アリが発生したのです。アリは部屋中を歩きまわり、あちこちに抜けた羽が散乱する。
ちょっとした地獄絵図を見ました。
そこで慌てて検索し、部屋に湧いたアリの正体を確かめたのです。その結果わかったのは、最初にユニットバスに湧いたのはシロアリだったということ。
私はシロアリといえば色も白いのだろう、ぐらいに思い込んでいたのですが、違うのです。
見た目は普通に黒く、やや小さめで、他のアリとの見分けはつきません。
そいつらを放置していたため、翌年には羽アリとなって大移動を開始してしまったのです。
羽アリはカップルを作って移動し、新たな居住地を求めて旅立つのだということを知りました。
チェックポイント
私はシロアリについて詳しくないので調べてみましたが、まさにこの方の言う通りでした。
このかたが言う通りシロアリの発生時期は4月~7月で、しかも羽アリとなって大移動をする理由は、その場所でアリの集団が生活しきれなくなったときに一部のアリが羽アリとなって大移動をするそうです。
このことからこの方が住んでいたアパートはシロアリに浸食されている可能性が高いです。
風呂あがりは除湿機を使い乾燥するようにすると…
やはり管理会社に連絡したのですが、おざなりにスプレーして帰ってしまい、まったく解決にならない。
羽アリじたいはゴールデンウィークから数日で消え失せましたが、建物の内部にシロアリが巣くっているのは明白。
これをなんとかしなければ、またアリの大量発生を見るはめになる。
そこで私は調べ続け、ユニットバスの湿気が最大の要因だったのでは?と思い至りました。
コマーシャルでも「水漏れがないお風呂はアリが困る」なんてやってたのを思い出しました。
そこで除湿機を購入し、風呂あがりは必ずユニットバスを乾燥させることにつとめたのです。
びっくりしたのは、数時間も除湿機をかけておけば2リットルぐらいの水が出たこと。
これが部屋中にしみわたっていたのですから、そりゃ蟻も沸きます。
この習慣を徹底し、翌年からはみごと、アリに悩まされることもなくなりました。
チェックポイント
それではまず、管理会社の対応を確認してみましょう。
またもや管理会社はスプレーをしただけで帰ってしまいましたが、大家さんには連絡しているのでしょうか?
管理会社というのはトラブルには対処しますが、今回のケースのような場合シロアリ駆除をするかどうかは大家さんに報告して大家さん自身が専門業者に頼むかどうかを決めます。
では次に、この方のシロアリ対策を確認してみましょう。
除湿機を購入してユニットバスを乾燥させるようにしたということでしたが、完璧な対策ですね。
シロアリが好む場所は「水分を多く含む木材や段ボール」「光や風のない場所」。
まさに、このかたがシロアリ対策をする前の部屋の状態ですね。それがシロアリにとっては最高の住み心地だったのです。
そして、シロアリが嫌うのは「乾燥と気温が低いこと」
この方が行った除湿機をかける方法は、シロアリが嫌う環境を見事に作り出しましたね。
男性のナイス!シロアリ対策!ですが・・・。
みなさん、最初の文章を思い出してみてください・・・シロアリ発生の原因はこのかたの換気不足によって起きているのです。
もし、この部屋だけシロアリが発生していたことが大家さんに知られたら最悪、損害賠償をされるかもしれません。
賃貸で部屋を借りる場合、入居者には「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」という「借りた部屋を善良なる管理者の注意を持って使用する義務」があります。
これは借りている部屋を注意を払って使用し管理しなければいけないということです。
例えば結露など発生すること自体は仕方ありませんが、それを放置し適切な手入れをしなかったためにカビなどでクロスが変色した場合は借り主の責任とされる可能性があります。
そのため今回のケースでは湿気がたまりやすい環境をそのまま放置して使い続けシロアリを発生させた善管注意義務違反となります。
シロアリ対策後はシロアリが出なかったから良かったものの最悪の場合、建物全体がダメになっていた可能性もあります。
入居者は大家さんの大切な資産の一室を借りているという気持ちで大切に部屋を使ってほしいものです。